生物的危害要因 ⑥腸管出血性大腸菌-1

こんにちは。
中央海産株式会社の高松です。
冷蔵・冷凍倉庫で、食品衛生事業を担当しています。
今回は腸管出血性大腸菌の解説を行っていきます。

牛の腸内常在菌である

すべての大腸菌に病原性がある訳ではありませんが、この腸管出血性大腸菌のように病原性を示すものもあります。 O-157を代表とする腸管出血性大腸菌はウシの腸内常在菌で、屠殺(とせつ)時に牛肉に付着することがあります。発症するための菌数は100個前後と少なく、付着しただけで危険です。感染すると出血性大腸炎により血性下痢の原因となります。またこの菌は強い腎毒性を示す毒素(ベロ毒素)を作るため、重症化した場合極めて危険です。感染者のうち数%は溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症を発症すると言われています。抵抗力の弱い乳幼児や小児、高齢者は特に重症化しやすい傾向があり、注意を要します。


基本的には肉の表面に付着していることが多い

1枚肉の場合、菌が付着している可能性があるのは表面で内部は無菌なため、表面を焼けば中に火が通ってなくても喫食できますが、挽(ひき)肉や結着肉は内側まで菌が入り込んでいることがあり、ハンバーグ等は中まで加熱しなければなりません(75℃・1分以上の加熱)。